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2006年5月20日 (土)

ウーファ映画会社 (戦前の三大映画会社の一つ)

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古いドイツ映画でよく見かけるロゴ。ご存じの方も多いと思います。ウーファ映画会社。ドイツの古~~い映画会社、宣伝の片棒をかついだ映画会社、ということは知っていたのですが詳しいことは分かりませんでした。マズいと思いつつ、調べるのを後回しにしていたのですが・・・

・・・やっぱり知らないままじゃ恥ずかしいので、調べてみました。(知らないのは私だけだったらどうしよう・・・)間違ったことを書いておりましたら、こっそりビシバシご指摘くださいまし。

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ウーファ は、Universum Film AG (AGは、「株式会社」)の略。その前身は、1917年にドイツ軍が設立したBufa (Bild- und Filmamt、あえて訳せば「写真および映画局」?ヘンだな。)。設立の目的は、戦争用のプロパガンダを流し、戦意高揚に役立てることでした。第一次世界大戦のさなかでしたもんね。しかし参謀本部はBufa に満足せず、軍人 Ludendorff (ルーデンドルフ)が中心となって同年12月に大規模な映画会社を設立することに。出資者はドイツ帝国政府、陸軍、ドイツ銀行となっています。

そしてウーファは記録映画、ニュース映画、文化映画、サイレント映画を作り始めます。ウーファによる「Kulturfilm(文化映画)」も見たことがありますが、今のNHKが作るような教育的な映画で、それなりに面白くためになる内容になっていました。

1921年に民営化され、娯楽映画の制作が中心となっていきます。ところが財政事情は悪化。何とか立て直すために、アメリカのパラマウント社およびMGM 社と「Parufamet(パルファメット)」協定を締結。Parufamet とは、Paramount のPar と、Ufa と MGMのMetro~のMet と結びつけた名前だそうです。その内容は、400万ドルの融資を受ける見返りとして、パラマウント社とMGM 社の映画を年に20本ずつ上映する、というものでした。ドイツの映画もアメリカで上映してもらう約束でしたが、それには「アメリカサイドが断ることもできる」という条項つきで、事実上はアメリカ優位の不平等な協定だったそうな。その結果、ドイツの映画館ではハリウッド映画ばかりが上映され、ウーファの財政難はますます深刻に・・・

この窮地を救い、倒産寸前のウーファを買い取ったのは、ドイツ国家人民党の党首にして企業家の Hugenberg (フーゲンベルク)。しかし彼は、ナチスに従順かつ深くかかわった人物で、後に経済相として入閣しています。

ナチス政権になってからはゲッベルスの宣伝戦略に利用され、他の映画会社と同様、国有化されてしまいました。ナチスが映画というメディアを駆使して巧みに宣伝を行い、国民を洗脳していったのは有名な話ですよね。ゲッベルスの指導に従い、当時大勢いたといわれるユダヤ系の映画人を率先して社から追放したそうです…これがドイツ映画界にとっての悲劇の始まり。「アーリア人条項」により人材は次々と海外に流出。

ドイツの敗戦と戦後の混乱期。東側にあったスタジオは、DEFA となり、東ドイツのプロパガンダを垂れ流す映画会社へ。西側に残ったウーファは紆余曲折を経て1956年に再び民営化・・・

・・・と、ざっと調べただけですがこんな感じでした。大変な時代を経てきたんですね。それにしても、才能ある映画関係者(監督、製作者、脚本家、カメラマン、映画音楽の作曲家、俳優など)が流出したのはイタかった・・・。レニ・リーフェンシュタールがナチスびいきの映画を作り続ける一方で、ナチスを嫌ってアメリカに渡ったF・ラングたちは反ナチスの映画を作り、ハリウッドで活躍する存在となっていきました。皮肉ですな。

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「ドイツ映画」カテゴリの記事

コメント

そういえば「Das Boot」以外にもドイツ語バリバリのビデオを持っていることを思い出しました。『ドイツ週間ニュース』です。ご存知かと思いますが、WW2の戦況を伝えるプロパガンダニュースです。いわゆる大本営発表ですが、じつに凝った作りになっているのに驚かされます。印象的なオープニングに始まり、その週のドイツ軍の奮戦ぶりが早口&景気のいいナレーションで紹介されるのですが、敗戦直前の45年2月ごろのニュースでも、かなり丁寧に作られているのに感心してしまいました。ここにもドイツ人の生真面目さが生きているようです。
ちなみに販売しているのは、モデルカステンという戦車模型のパーツや雑誌を出している会社です。最近はDVD化が始まりました。欲しいです。

投稿: なすび | 2006年5月20日 (土) 06時28分

なすびさん、早朝のコメントありがとうございました。早起きですね!もしかして、今日もお仕事でしょうか?ニュース映画のDVD、見たいです。戦争を描いた映画では、よくニュース映画が出てきます。その内容で、時代背景が分かるんですね。そういえば映画「トンネル」では、戦後の東ドイツでもニュース映画が一般的であったことが、さりげなく描かれていました。西ではもうTVが一般的だった頃に。
日本の「大本営発表~」がウソっぱちだらけであったと同じように、ドイツの戦局を伝えるニュースもウソが多かったんでしょうね。戦争中は、複数の映画会社がUfa 映画有限会社という一つのコンツェルンにされた、と出ていましたので、そのニュース映画も間違いなくウーファが製作したものだと思います。そうそう、あのUボートを作った「バヴァリア」も、戦前の三大映画会社の一つだったそうですが、そこも戦争中はUfa の中に組み込まれてしまったそうです。上には書きませんでしたが、戦後、バヴァリアがUfa から再び分離独立したとのことです。

投稿: ありちゅん | 2006年5月20日 (土) 08時42分

Ufaですか。Professor UnratとかDie blaue EngelとかもUfaでしたか。古いドイツの映画は良いですね。

投稿: Papagena | 2006年5月20日 (土) 09時47分

ホント、古いドイツ映画はいいです。大好きです。でも、そういったノウハウも元は戦意高揚のための宣伝映画だと思うと考えちゃいますね~。

投稿: ありちゅん | 2006年5月20日 (土) 10時49分

ドイツ週間ニュースのDVDは書店やアマゾンのほか、モデルカステンのHPからか、セブンアンドワイからでも注文することができます。うちはマンションの下にセブンイレブンがあるので、もう少し値段が安ければセブンアンドワイから注文するんだけどなぁ・・・・。いちおう、URLをあげておきますね。

■セブンアンドワイ
http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31514896

■モデルカステン(各巻の説明つき)
http://modelkasten.com/book_catalog/04army/index8.html#229057

投稿: なすび | 2006年5月20日 (土) 11時38分

なすびさん、貴重な情報ありがとうございます!スゴイ、こんなにたくさん出ているんですね~ ドイツ習慣ニュースって、確か最初に音楽が鳴って、ワシだかなんだかの画が出てきて、とにかくゴージャスなオープニングですよね。違ったかな?ナレーションも今とは違う読み方で、いくぶん高揚したような声ですよね。あと、ヒトラーがポーランドに侵攻した際のラジオ放送「5時45分・・・・反撃を開始せり」有名ですよね。いよいよ戦争が始まった、ということを伝えるために、さりげなくこのラジオ放送を流す、という演出はよく見かけます。

投稿: ありちゅん | 2006年5月20日 (土) 20時01分

ありちゅんさん、そうです。オープニングの曲とともにワシが現れ、曲に合わせて「ドイツ」「週間」「ニュース」とロゴが登場します。なすびが持っているのは1943年~45年のもので、5、6本です。ビデオ版はたしか、ずいぶん出ました。30本以上あったかな・・・・。

投稿: なすび | 2006年5月20日 (土) 20時10分

そうだ、思い出しました。ロゴは3段階に分かれて登場するんですよね。面白そう・・・

投稿: ありちゅん | 2006年5月21日 (日) 00時23分

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