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2007年5月 5日 (土)

Zikade (セミ) と Grille (キリギリス)

 連日昆虫の話ばかりで失礼いたします。コメント欄でもちょこっと書いたのですが、日本に住んで数年のドイツ人に、「そろそろセミが鳴き始める季節になったね~」と言ったところ、「へ?」と言われたことがありました。「知らない?毎年夏になると『ジジジジ・・・』って鳴いてるでしょ、ほらアレよアレ」と言ったのですが、「へ?そういえば何か鳴き声は聞こえるけど・・・」といった返事が。「Und? (それが何か?)」といった反応でした。よくよく聞いてみると、イソップ童話の『アリとキリギリス』の「キリギリス (Grille)」と「セミ (Zikade)」の区別もついていない模様。というか、そんなこと区別してどうするの?といった反応でした。

 ちぇっと思ってその後、家族に聞いてみましたところ、「あの話はもともと『アリとセミ』って言うんだよ」

えっ ホント?と思いつつ、そのまま数年が経ってしまいました。無知であることが皆様にバレバレになるかも、と思ったものの検索してみたところ・・・

『イソップ童話の有名な「アリとキリギリス」の話は、本来の南欧である地中海沿岸のギリシアで編纂された原話では「アリとセミ」の話であった。セミは元来、熱帯系の昆虫で、日本より緯度が高いヨーロッパや北アメリカではセミの種類も少なく、小型で迫力がないので、知名度が低い。そのため、より分かりやすいようにキリギリスに置き換えたもので、日本にはこの置き換え版が入ったと言うことである。』(ウィキペディア「セミ」より引用)

『明治維新の時、日本にやってきたヨーロッパ人はイタリアや南仏などの地中海沿岸地域出身者を除くとセミを知らないものが多く、「なぜ木が鳴くのか」と尋ねたものもいたという。現在でも、日本のドラマを欧米に出すとき、夏の場面ではセミの声を消して送るという。日本ではいかにも暑い盛りのBGMと感じられるが、あちらでは妙なノイズが乗っていると思われる場合が多いという。』(同じくウィキペディア「セミ」から引用)

Zikaden という言葉を聞いてもドイツ人はピンと来ないのかな。DUDEN で Zikade を調べてみると・・・

Zikade:(lat. cicada, aus einer Mittelmeerspre.)kleines, der Grille ähnliches Insekt, bei dem die männlichen Tiere laute, zirpende Toene hervorbringen. (ラテン語はcicada、地中海の言葉。キリギリスに似た小さな昆虫。オスは大きな声で鳴く。)

 え?セミとキリギリスは見た目も違うんですけど・・・鳴き声だってかなり違うんですけど・・・。彼らにとっては同じようなものなのかしら。
Zikaden (Wikipedia) 
これによると、セミを含めた様々な虫を幅広く指す包括概念らしいですね・・・他にも Zikaden という言葉で検索してみましたが、「どう見てもこりゃ違うでしょ~」と思える虫もヒットしました。

 もしかしてヨーロッパ言語を学んだ人なら皆さんご存じのことかもしれません。だとしたら、今更こんな話題ですみません。少なくともドイツ人たちからすると、Zikade だろうが Grille だろうが、大した差じゃないんですよね、きっと。

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午後追記:ちょこっと検索しただけなのですが、「アリとキリギリス」のドイツ語、「Die Grille und die Ameise」という題と「Die Ameise und die Heuschrecke」というのがありました。前者ですと「キリギリスとアリ」。後者ですと「アリとバッタ」。よく分からなくなってまいりました・・・昆虫に対する考え方が根本的に違うのかしら・・・。学名だったら同じはずだけど。

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「ドイツ語」カテゴリの記事

コメント

そうですね、ドイツにはカブトムシもいないけれどセミもいませんものね。たしかに、南フランスあたりに行くと、セミは鳴いていますが、日本にいるものとはまったく違った音色でした。(不思議と、スロヴェニアやクロアチアのアドリア海岸ではセミの声を聞かなかった。)

Grille、「コオロギ」という日本語に結びつけて記憶していました。「アリとキリギリス」ドイツ語版の「キリギリス」が実は Grille なんですね。手元の和独で「キリギリス」を引くと、Wiesenzikade なんて単語が出てきます。

投稿: takuya | 2007年5月 5日 (土) 06時58分

★takuya さん

コメントいつもありがとうございます。記事にも追記で書いたのですが、「アリとキリギリス」、ドイツ語ですと「Die Grille und die Ameise」というのと、「Die Ameise und die Heuschrecke」というのがあるんです・・・どう違うんだ?英語ですと「The ant and the grasshopper」なんですよね。Heuschreckeってどっちかというと「バッタ」かと思っていたんですが・・・。キリギリスも含まれるんでしょうか?それともドイツのばったは鳴く?

投稿: ありちゅん | 2007年5月 5日 (土) 15時44分

http://de.wikipedia.org/wiki/Heuschreckendebatte
また話をそらして大変恐縮ですが・・・ドイツジジネタにちょっと明るい方にはピンと来ると思いますが、今ドイツでHeuschreckeという単語から連想するものは、まっちがいなくネガティブなイメージだと思います。SPDの元党首の発言で物議をかもして有名になったんですけれど、なんつうかなー、金目当てで企業にたかる連中(Private-Equity-Gesellschaftって日本語でなんてんでしょ?)…の総称となっていますな、今では。

投稿: spatz | 2007年5月 5日 (土) 19時16分

はじめまして。
では芭蕉の句も「岩にしみ入るキリギリス」となるわけですね。なんとかドイツ人にも蝉の声を味わってほしい気がしますが…。

投稿: とめ | 2007年5月 5日 (土) 19時37分

★しゅぱちん

コメントありがとう~~ミュンターフェリングさんだったっけ?細かいことは忘れてしまいましたが物議をかもしたんだよね、確か。ジジネタにもババネタにも暗くて…。こうして昆虫のドイツ語を調べただけでも奥が深くて感動…(…しているのは私だけかもしれない。皆様ヒイてらしたらどうしよう。)以前、チョウとガの記事のときも感じたんだけど、お国が変われば虫に対する意識も変わる、ということでしょうね。

(5月6日追記:すみません・・・うろ覚えでいい加減なこと書きました。ミュンテフェリングさんだよね。今リンク読みました。)

★とめさま

はじめまして! ようこそおいでくださいました。どうぞよろしくお願いいたします。コメントもありがとうございました。「岩にしみいるキリギリス」って、あんまり夏っぽくないですよね(笑)。あの「み~んみんみんみ~ん」とか「ジジジジジ・・・」というのが日本人にとって夏の風物詩ですし、何ともいえないノスタルジックな気分になれる音なんですが・・・。キリギリスというと秋を思い出しちゃいますよね。

投稿: ありちゅん | 2007年5月 5日 (土) 23時17分

なんだか訳わからなくなりますね。「働かないとキリギリスになっちゃうよっ」じゃなくて、「セミになっちゃうよっ」となるんですね。でもセミは土のなかで7年待って出て来るんだしなぁ。しかし、木が鳴くとかノイズに聞こえるとか、国が違うとすごいことになるんですね。笑える~

投稿: あむ | 2007年5月 6日 (日) 09時50分

はじめまして。毎日拝見させてもらっています。
セミの話ですが、ゲーテのファウストの「天上の序曲」でメフィストフェレスが神にむかって人間をこばかにして言う台詞があります。
Wie eine der langbeinigen Zikaden,
Die immer fliegt und fliegend springt
Und gleich im Gras ihr altes Liedchen singt

セミ(Zikaden)に関して、変な表現だとおもいませんか?「足の長いセミ」って、セミは足長いでしょうか?ばったみたいなセミだな、とずっと変に思っていました。
翻訳書をみてもセミではなく、ばった、と訳してあります(手塚訳)そうでないと辻褄があいませんね。ファウストに註釈をくわえた本があったので
引用させていただきます。

「Zikade は、ここではHeuschrecke,Grashuepfer
のこと。ゲーテはHeuschreckeとZikadeとを混同していた。」(高橋義孝 ファウスト集注)

それからラジオでフランス人が、日本のセミについて話していましたが、日本のセミはとにかく大きい、日本の夏、セミの音はうるさいと感じることがある、との事でした。

ありちゅんさんの疑問は私にはかえって、目からウロコでした。みんな変だと思っているんだ、と。
日本語の問題かもしれませんね?

             ありがとうございました。

投稿: とんぼ | 2007年5月 6日 (日) 11時05分

ありちゅん様
Grille、Heuschrecke,Wespe,Hunnmel,Nashorne,
これ等の単語は、ミリオタやプラモマニアにとっては常識的な物です。 このサイトに載っています。 下の方です、この単語をクリックしたら映像と解説が出てきます。 4~7メートルもある大物ばかりですが、かわいいスタイルの物が有ります。
http://military.sakura.ne.jp/army/index.htm
この様な車両に、こんなネーミングをする2次戦中のドイツ陸軍のセンスは、良いと言うかズレていると云うか判断に困ります。 

投稿: | 2007年5月 6日 (日) 12時30分

★あむちゃん

コメントありがとうございます~。そもそもイソップ物語に出てきた「セミ」自体、日本の「セミ」とは違うんじゃないか・・・などと思ってしまいました。ギリシャなどは暖かいからセミの類も当然いるでしょうが、いわゆるアブラゼミみたいなセミではなかったのかもしれませんね。キリギリスに限りなく近い虫とか。あむさんも書いてくださったように、そもそも日本のようなセミって土の中に何年もいるし、夏になると命の限りを尽くして鳴いて果てる、というイメージなので、夏の間は遊びまくっている、というイメージとはかけ離れていますよね。なんだかよく分からなくなってきた・・・

★とんぼさま

はじめまして。ようこそおいでくださいました。コメントもありがとうございます。ファウストに出ていたとは存じませんでした・・・!これこそ、いわゆる「アブラゼミ」や「ミンミンゼミ」のようなZikade ではなく、草むらにいる、キリギリスにも似たような昆虫ですよね。gleich im Grass ihr altes Liedchen singt ということは、「ミーンミンミン・・・」という声ではもちろんないでしょうし、かといってバッタは歌わないですし。ゲーテがバッタとセミを混同していたのではなく、Zikade という言葉が意味するものが日本語とドイツ語では違うということでしょうね。なんだか感動です。ありがとうございました。

とても博識な方とお見受けいたしました。私のようなお遊び半分のへっぽこブログに来ていただき、恐縮しております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

★???さま

こんにちは。コメントありがとうございました。残念ながらお名前が書いてありませんでしたので、宛名が書けず「??さま」で失礼いたします。

リンク先の画像も拝見いたしました。うーん、人を殺すための武器ですのに、愛らしい名前をつけるセンス・・。兵士に少しでも愛着を持ってもらいたい、という意図でしょうか、それとも人間相手に武器をぶっ放す罪悪感を少しでも軽減させようとの意図からでしょうか。

投稿: ありちゅん | 2007年5月 6日 (日) 15時39分

わ~!連休の間に甲虫やらカブトムシやらセミやら昆虫の話題で盛り上がってたんですね(^^)/
セミってじっとして鳴くのがお仕事みたいだから怠け者って思われちゃったのかな?この間教育テレビかなんかでもセミ番組してましたが土の中から出てきて1週間ほどの命の間のお仕事は子孫を残すことだけだそう・・。なんだかかわいそう・・。羨ましいなんて言う人もいそうですが・・。
そう言えば先日時事通信社のニュースで17年ゼミが今年はシカゴで大量発生の予想で鳴き声が騒音となるので野外コンサートも中止となったと報道してました。アメリカのセミは日本と同じくうるさく鳴くのでしょうか。
このセミを調理して食べる人が大勢いて2004年に大量発生したワシントンではアレルギーを起こしたり食中毒になって病院に行った人が大勢いてセミを食べないようにって注意が出たんですって!硬くなってしまったセミは美味しくないけど羽化したばかりのセミは美味しいなんて言ってる人もいるそうです~。ふーっ・・短い命なのに・・。

投稿: ろこちゃん | 2007年5月 6日 (日) 16時22分

セミ談義おもしろいですね。そこでセミのことですが、以前、私は静岡県の沼津市に住んでいました。そこでは「シャー、シャー、シャー」と鳴くセミがいて、このセミが地元では「シャーシャー」という文字通り鳴き声から命名されていてクマゼミのことでした。しかし、東京にはこのセミはいないのです。多分、東京と沼津の間にクマゼミの北限があるものと思われます。ところが、昨年の夏、このクマゼミの鳴き声を東京で聞いたのです。ドキっとしました。これって地球温暖化のせいかもなんて思ったりして…。

投稿: 絵描き屋 Yoshimi | 2007年5月 6日 (日) 22時59分

★ろこちゃんさん

こんにちは~。コメントありがとうございます。お礼が今日になってしまってすみません。体がすっかり連休モードになってしまい、なかなか動きません(って連休のせいにしてしまいましたが、単に怠惰なだけでした。)

ちょうどジュウシチネンゼミのことがウィキに載っていましたので貼り付けちゃいますね。

=====Wikipedia より引用=====

同様に、イギリスから北アメリカ移民した人々が、ジュウシチネンゼミ分布地に入植してこのセミの成虫の大量出現に遭遇したとき、驚いた移民達はいったいどういう昆虫なのか理解できず、聖書を紐解き、旧約聖書の出エジプト記などに記された蝗害の記事にこの現象を当てはめ、本来の英語でセミを示す cicada ではなく、蝗(イナゴ)を意味する locust の語を当てた。そのため、アメリカ英語ではセミを言い表すときに、 cicada と locust の両方の語を使う慣習が生じた。

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「驚いた移民たちは」って何に驚いたのかしら?数かな。それとも鳴き声かしら。ジュウシチネンゼミの大量発生って、時々ニュースになりますよね。定期的に発生するのかな。いずれにしても、ヨーロッパの人たちはさぞかし驚いたでしょう。だからって食べるのもちょっとなぁ・・・ジャリジャリしてそうですよね。

★絵描き屋Yoshimiさん

わ~ ご無沙汰しております。コメントありがとうございました。お礼が今日になってしまい、すみません。お元気でいらっしゃいました?もしかして絵をお描きになるときは、ドイツ製の鉛筆をお使いなのでしょうか?ファーバー・カステルとか。

ところでクマゼミ。私は子供のころ、関西におりました。夏のシャーシャーシャーシャーはよく耳にしていたのですが、東京では聞きませんでした。でもここ何年か、確かに耳にしております。私も「え?とうとうクマゼミが東京に?」と思いました。温暖化に加え、ヒートアイランド減少も拍車をかけているのかもしれませんね。それを考えると少し心配になります。

話はそれますが、ひぐらしの鳴き声を聞くと悲しくなりませんか?「あーあ、夏休みも終わっちゃう・・・」って子供のころに思ったのがよみがえって。

投稿: ありちゅん | 2007年5月 7日 (月) 12時12分

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