明治時代の独和辞典
果物の種について書きだしちゃいます~とか言っておきながら、別のお話です。読んでくださいます方、ありがとうございます。
某所で古い辞書を見つけてしまいました。ポケットタイプで小型ではありますが、優れもの。一目ぼれです、ハイ。ゲットしちゃいました。辞書って大好きなんです・・・だけどあまりに安く入手したので、もしかして復刻版?ニセモノ?という疑問も実は払拭できないのです・・・。横書きの文字が左から書かれているし。本物じゃなかったらお恥ずかしいのですが・・・
三省堂 獨和新辭林 第9版
ドクトル高木甚平・保志虎吉 共編
初版明治29年発行、第9版明治32年発行
もちろんヒゲ文字ですし、解説の日本語も文語体。それでも名詞の性は m/f/n で区別されているし、2格に S がつくものは ‐s となっています。複数形も書かれているし、派生語もバッチリ。意味も豊富。しかも当時の日本ではそれほど一般的ではなかったものについては内容の説明まで記されています。本当に明治の辞書なのかなぁと私は疑っているのですが、古い辞書であることは間違いなさそう。後日あらためて面白そうな語彙をピックアップしてしまいますね。
冒頭の編者の言葉が面白いのです。今の時代にも通じる苦労が語られています。辞書は簡単で分かりやすいのが一番だけど、その両方の要件を両立させるのは大変だ、といった内容のようです。獨逸語は語をどんどん連ねて単語を作っていきますが、それを全部網羅するとワケわかめちゃんになっちゃう。ある程度絞ると引きやすくはなるものの、意味を調べる際に「載ってない!!」と困ることにもなる・・・。編者の苦労が伝わってくるような言葉です。明治の学生たちもこういった辞書を手に、獨逸語と格闘していたんですね。(余談ですが、文語って漢字が多くて読めましぇん。漢字とヒゲ文字のダブルパンチ。ドクトルすごすぎ。)
『辞書の要訣は簡潔明確にあり、されども簡なれば則(すなわ)ち明ならず、明なれば則ち簡ならず、世間辞書の類多しと雖(いえど)も、能(よ)く簡にして明なるは罕(まれ)なり、殊に獨逸語の辞書にして簡明ならんを望むは較や難事なりとす、是れ獨逸語の性質たる、語に語を聯(つら)ぬれば則ち新たに語を成し其数殆んど無蓋なればなり、今若し其語数を淘汰し其骨子のみを摭(ひろ)はんとせば簡に失するの恐あるべく其訳字を減じ其解釈を省略せんとせば明を欠くの憂あるべし・・・(中略)・・・恐らくは遺脱誤謬(ごびゅう)多からん、是等は他日再鐫(さいせん)を待ち訂正增補(ぞうほ)する所あらんとす、唯だ之に因(よ)りて多少初學者に裨益(ひえき)する所あれば幸甚なり。』(獨和新辭林 冒頭部分より引用)
それにしても・・・。この辞書が使いこなせた人って、間違いなく漢字をよく知っている人でしょうね。上のを書き出すだけでタイヘンでしたわ~。だけどこれ、本当に本物かなぁ?お詳しい方いらっしゃいませんか?見た目も中身もかなりボロボロなんですが・・・。



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