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2007年6月15日 (金)

Uボート艦長さんの思い出

 ブログに個人的な思い出話を書くのも何かな~申し訳ないかな~と、一瞬躊躇したのですが(時々書いていますが)たまにはいいかな。某所でも書いたことなので、既に読んでくださった方には申し訳ないです。

 大昔(ホントに大昔になってしまった・・・)、日系金融機関のドイツ支店に勤めておりました。そこにドイツ人支店長さんがいたのです。金髪碧眼、背が高くてハンサムなインテリ老紳士でした。ある日、支店の方が教えてくださったのです。「あのドイツ人支店長さん、Uボートの艦長さんだったんだよ」 ところがUボートにほとんど興味のなかった私は「ふ~ん。じゃ、WW2ではお船に乗っていたのね」くらいにしか思わなかったのです。キッチンでよく誰かの差し入れのお菓子やケーキをつまんでいる甘いもの好きの一面とか、ちょい短気でカッカしやすい一面しか知らなかったものですから。あ、そうそう。女性の手の甲によくキスしていました。映画みたいに。

 いろいろよくしていただき、私が帰国する際は次の職場の世話までしていただいちゃいました。一筆書いてくださり、「ここに電話してごらん。話はつけておいたから」と。あっという間に次の職場も決まってしまいました。こんなに簡単に決めていいのかな~ま、あのおじいちゃんが言うんだからいい職場でしょ。くらいの軽い気持ちでした。実際、とてもいい職場でしたが。

 あれから十ン年。今回、「U・ボート」でU99さんにお世話になった際、このおじいさんのことを調べていただいたら、ホントに艦長さんだったのでビックリしました。あの話、本当だったんだ・・・!と。U・ボートに乗る前は駆逐艦にも乗っていらしたとか。Uボートの乗組員は4万人のうち3万人が帰らぬ人になったといいます。あのおじいさんも映画と同じノコギリエイの紋章をつけた潜水艦の中で Alaaaaaaaaaaam(警報)! とか、Fluuuuuuuuuteeeeeeen(潜航)!とか、Warschaaaaaaaaaaaau(警戒)!とか号令を出しつつ、修羅場をくぐり抜けてきたんだろうなぁと思うと胸が熱くなったのでありました。

 東京での職を世話していただいたこともあり、その後何回かお手紙をお送りしていたのですが、いつの間にか音信不通となってしまいました。元艦長さんはクリスマスになると、職場の女性にオードトワレをプレゼントなさっていました。決まってニナリッチ。私もいただき、まだ実家にとってあります。さすがに香りは飛んでしまったでしょうが、艦長さんの香水ということで、家宝として末永く大事にしまっておこっと。U99さんにお聞きしたのですが、潜水艦内の環境は劣悪だったとのこと。元艦長さんが香水好きだったのは、そういった環境にずっといらしたからかしら・・・

  

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「ドイツのこと」カテゴリの記事

コメント

ありちゅんさんのこのお話を聞いて、わたしも去年のクリスマスに、ツマに香水をプレゼントしたのでした。(^^; 買ったあとでパッケージを確認したら、これまた偶然、ニナリッチ。
いい香りですよね。

艦長さん、今もお元気だといいですね。

投稿: なすび | 2007年6月15日 (金) 07時49分

個人体験記って、とてもおもしろいと感じます。ドイツ人なんて自分の体験談中心に話を進めてきませんか?!あれ大好きです。歴史のまっただなかにいるって感じがしたもんでした。ありちゅんさんならきっとおもしろいことにたくさん遭遇していらっしゃるのでは・・・

私は初めてヨーロッパ旅行をしたときの母用みやげにニナ・リッチの香水を買いましたよ~

投稿: あむ | 2007年6月15日 (金) 14時51分

★なすびさん

ホント、ウワサは本当だったと知って驚きましたわ~。なすびさんやU99さんだったら、きっとご本人からたくさんお話を聞けたでしょうに。あんなに支店長さんと会話しておきながら、私が話す内容といったらケーキの話だとかチョコレートの話だとか・・・潜水艦の「せ」の字も出ませんでした。お元気でいらっしゃるといいんだけど・・・ちなみに、男性から香水をいただいたのは、あとにも先にもあの時だけ。だれかくれ~~

★あむしゃんっっ

ニナ・リッチの「ニナ」という香りが当時好きでした。今でも売ってるのかなぁ。私はそれほど面白い体験はしていないし、自慢できるロマンスもま~ったくないので(涙)人様に話せることなんてほとんどないのです。で、あむしゃんは?何か面白い話、あるでしょ、あるでしょ。大丈夫、絶対に人には言わないから。ここだけの話で教えて♪♪ホント、言わない(でも書く)から。

投稿: ありちゅん | 2007年6月15日 (金) 18時50分

例の艦長さんについて改めて調べてみたところ、彼の艦は映画「U・ボート」のようにジブラルタルにも行ったし、敵機の攻撃を受けたこともあったし、43年には米国のニューファンドランド近くまで行ったこともあったようです。作戦哨戒は3回。それぞれが2か月ほど続いています。風呂もないあんな小さな船の劣悪な環境の中で、男どもが2か月間も一緒。その間、上記以外にも今の我々には想像もできないような修羅場が多々あったでしょうね。

しかし残念ながら、2001年9月16日に亡くなっています。享年86歳。彼も間違いなく、苛烈な時代を生き抜いた一人でありました。今は永遠の安寧に生きておられることでありましょう。

投稿: U99@敬意を込めて | 2007年6月16日 (土) 11時27分

★U99さん

ありがとうございます・・・!わざわざ調べてくださったんですね。実はあれから思い切って元艦長さんに手紙を書いてみようかな、とも思っていたのです。でもお元気でいらっしゃるかどうかも分からないし、ご家族の方々が当時のことをどう思っていらっしゃるか分からないし、土足で踏み込むようなことをしてはいけないと思ってお手紙をお送りするのはやめておりました。お亡くなりになったんですね・・・。U99さんのコメントを読んでいて涙がぼろぼろこぼれました。ワンコの散歩から帰ってきた家族がビックリするほど。本当によくしていただきました。お誕生日に老舗Konditoreiのプラリネを差し上げたら、「もったいないから1日1個ずつ食べるね。食べるたびにあなたのことを思いながらいただくから。」と喜んでくださったことを今でもよく覚えています。

本当に素敵な老紳士でいらしたのですが、快適な今の世の中に暮らす我々には想像もできないような劣悪な環境で、しかも明日の命も知れない極限状態の中で頑張ってこられたんですね。きっと今はゆっくりお休みになっていることと思います。愛用のマイセン陶器でお茶を飲みながら、大好きなケーキやチョコレートを召し上がっているのではないかと。

U99さん、調べてくださり、本当にありがとうございました。

投稿: ありちゅん@Ich musste weinen | 2007年6月16日 (土) 11時44分

ひょんなことからこのブログを知り、度々覗かせて頂いております。ドイツ語の勉強を細々と続けているもので、ここで紹介されている色々な情報、ドイツ語に関するうんちくは、本当に面白くて、毎回楽しみにしております。今回Uボートの字幕を担当されたということで、(戦争ものは見たくないのですが)勇気を奮って鑑賞しました。本当にドキドキして何度も途中で見るのをやめようかと思いつつ、とうとう最後まで見てしまいました。やはり仰るように素晴らしい映画ですね。一生深く心に残る映画だと思いました。これからも度々お邪魔させて頂くつもりです。素敵なブログ、楽しみにしております。

投稿: ぴんぷす | 2007年6月17日 (日) 15時48分

★ぴんぷすさま

はじめまして!コメントをありがとうございました。ようこそおいでくださいました。どうぞよろしくお願いいたします。

ドイツ語の勉強をなさっているんですね。素人が書くショボいブログですが、遊びに来てくださって本当に嬉しいです。しかも映画を観てくださったんですね。本当にありがとうございます。貴重なお時間を割いてまで見てくださる、というのは翻訳者にとって本当に嬉しいことです。しかも戦争映画が苦手でいらっしゃるのにドキドキしながら最後まで見てくださったなんて・・・。

実はちょっとブログも中だるみ・・というか潮時かなぁ~などと思ったりもしているのです。でも、こうして遊びに来てくださる方がいるととっても嬉しいです。本当にありがとうございました♪

投稿: ありちゅん | 2007年6月17日 (日) 20時25分

ありちゅんさん~~
素敵な思い出、私も思わず泣けました。
私もレベルは違うものの、本当に同じ様な思い出があります。
優しい素敵なおじいちゃまだったのですが、かのヒットラーの時代を兵士として生き抜きでも本当に優しく紳士でかわいらしくて大好きなお友達でした。
今は亡くなりましたが、ドイツの思い出と共にいつもいつも思い出しています。
時代に翻弄された過酷な時を過ごされた方が幸せに残りの時間をすごされましたようにと祈らずには居られません。

投稿: Munchen大好き | 2007年6月19日 (火) 07時19分

★Munchen大好きさん

こんにちは~~~ コメントありがとうございました。Munchen大好きさんにもそういうお友達がいらしたんですね。この元艦長さんとは別の方ですが、やはりお年を召したドイツ人とお話ししたことがありました。兵士ではなかったのですが、ベルリンの空襲で命からがら逃げ出したそうで、当時のことは思い出したくない!とおっしゃっていました。日本でも戦争経験者が少なくなってきてしまいましたが、それはドイツでも同じでしょうね。別の知り合いのおじいさんは、「戦争で食べ物に苦労したから、食べ物は絶対に捨てられない」とよく言っていました。日本でもお年を召した方はよく言いますよね。私なんて忘れっぽいので、冷蔵庫の中でしょっちゅう食品をダメにしてしまいます。そのたびに、そのおじいさんの言葉を思い出しちゃう。Munchen大好きさん、このたびはコメントありがとうございました♪

投稿: ありちゅん | 2007年6月19日 (火) 15時07分

皆さんそれぞれにドイツのご老人との思い出があるんですね。私の「友人」だった爺さんも、いつも優しい眼差しと言葉を投げかけてくれる温和な人でした。しかもユーモアたっぷり。しかし、大戦中は彼も海軍士官であり、Uボートの機関長を務めていたバリバリの軍人でした。そんな過去の姿と現在の姿にいつも大きなギャップを感じたものです。こんなに優しい人でも軍人が務まったのか、と。しかし今にして思えば、幾多の試練をくぐり抜けてきたからこそ優しくなれたのかもしれないなと、人生経験に乏しい私は単純な推測をしています。そんな爺さんも昨年亡くなりました。享年84歳。ご遺族は遺言に従って海に散骨し、彼は永遠に海の男となりました。そんなわけで海を見ると彼のことを思い出します。海は世界中つながっているので、すぐそこにあの爺さんがいるような気もします。

「死は、肉体の消滅を以ってではなく、人々の記憶からの消滅を以って完結する」 たしかこんな言葉をどこかで聞いたことがあります。みんなから忘れ去られたときに人は本当に死ぬということでしょう。ですから、ありちゅんさん、是非ともご遺族に手紙を宛ててやってくださいな。「偲ぶ」とはまさに「人を思ふ」と書きます。故人のことを思う人がまだこの世に存在し、しかもその人は遥かな日本にいる。その上、ありちゅんさんが生前の故人からお世話になったことや優しくしてもらったことを知れば、ご遺族にとってもひとしおではないでしょうか。

もう一つ。書くという行為には心を浄化してくれる作用があると思います。故人を偲んでしたためた手紙は、きっとありちゅんさんの今の悲しい気持ちを鎮めてくれることでしょう。そしてそのとき同時に、その平穏な心は故人の魂とも同化し、悲しみが安らぎとして昇華されるのではないでしょうか。これは、死者のみならず、われわれ生者に対する鎮魂でもあり、深い宗教的行為だと私は思っています。

長々と、しかも坊さんの説教のような内容になってしまいました。失礼しました。

投稿: U99 | 2007年6月19日 (火) 23時55分

★U99さん

昨夜はコメントをありがとうございました。親しくしていらしたLIさんが亡くなられたときはU99さんも寂しい思いをなさったでしょうね。いま手元に当時の写真があります。勤めていた支店のクリスマスパーティのときの写真。あんなにお世話になったのに、その後音信不通にしてしまったのが悔やまれます。この元艦長さん以外にも、当時お世話になった方々が何人かいます。当時はそれほど高齢じゃなかったのですが、今じゃみんな80歳近く。meine japanische Tochter と呼んでかわいがってくれたおばあさんは現在、アルツハイマーで闘病中。まだ私のことは分かってくれていますが、いつまで覚えていてくれることか・・・ドイツ人がよく言いますよね。Ich denke immer an dich. あれは決して社交辞令ではなく、「あなたのことをいつも想っているよ」というのはどんなプレゼントにも勝る思いやりだと思います。

話がそれてしまいました。お世話になった方々に不義理をしがちな私ですが、メールではなく直筆で手紙を書こうと思いました。そうですよね、元艦長さんのご自宅にも手紙を書いてみようかしら。奥様にはお目にかかったことがあるのですが、お子さんたちは「誰これ?」と思われるかも・・・説明したらわかっていただけるかな。

U99さん、いつもいろいろありがとうございます。いつも思いますが、U99さんの言葉には人の心を動かす何かがありますね。

投稿: ありちゅん | 2007年6月20日 (水) 14時02分

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