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2007年10月 1日 (月)

Buchbinder(製本工)

Photo  昨日の朝、ぼーっとテレビを見ていましたら、「ルリユールおじさん」という絵本が紹介されていました。ルリユール(relieure)とはフランス語で、「製本技術」だそうです。ある女の子が大切にしていた植物図鑑がバラバラになってしまい、何とか直してもらおうとルリユールおじさんのところに持って行くお話です。まだ読んでいないので詳しい内容のご紹介はできないのですが、ヨーロッパに古くから伝わる製本業がそこで語られるとのこと。そこで思い出しました。ルリユールおじさんってドイツの Buchbinder?

 私事で恐縮ですが、私のホストファミリーだったおじいさんは製本業のマイスターでした(先日の日記でご紹介した「なぞなぞ」好きでお茶目なおじいさん)。上等な紙や皮を使って手作業で丁寧に本の装丁を行う職業です。家には文字通りの Meisterstück (マイスター試験のために制作する作品のことです。転じて「傑作」という意味でも使われますよね)が飾ってありました。実際の作業は自宅からかなり離れた作業所で行うため、作業風景を見せてもらえなかったのは残念。マイスターというと、昔ながらの「工房」で弟子と数人で手作業する頑固な「匠」を連想するのですが、需要が減った今では働き口も少なく、おじいさんも比較的大きな会社で働いていたようです。

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 フランスのルリユールと、ドイツのBuchbinderei がどう違うかまでは分からないのですが、Wikipedia に die Geschichte des Buchbinders im deutschsprachigen Raum (ドイツ語圏の製本工の歴史)が載っていました。長~いので、少しだけご紹介。

 製本業の歴史は古く、本の登場とともに綴じる技術は存在したそうです。しかし作られる本の部数自体が少ないため専門の職人はまだ存在せず、製本作業は教会や修道院で聖職者によって行われることが多かったとのこと。

中世に修道院などで制作された、非常に美しく豪華な彩色写本については、あむ さんのサイトに詳し~く写真入りで説明されています。ぜひご覧になってみてくださいね → 中世の彩色写本へGO! 

 修道院や教会以外では、本に対する需要がある大学都市や商業都市でも製本を行う人々が存在したようです。ただし、職業としてはまだ確立していなかった模様です。

Buchbinder_wappen_2  印刷技術が発明され、本の部数が増えるに従い、製本を専門とする職人が登場するようになりました。彼らが手がける量は、修道院や教会で製本される量を上回るようになったそうです。やがて Zunft (ツンフト、同業者組合)も組織されるようになりました。Lehrling (弟子)たちは Meister(親方)の家に寝泊まりしながら修行を行い、一人前となっていくシステムですな。Wiki によると、17世紀末には、すべての製本工がツンフトに属さなくてはならなくなったそうです。(Gegen Ende des 17. Jahrhunderts war jeder Buchbinder zünftig. 「zünftig」 って形容詞、初めて知りました~)  ツンフトには独自の決まりごとや習慣がありました。それに属すことで手に職がつき、様々な権利が保証される一方で、厳しい制約が課せられ、不自由な面もあったそうです。確か高校の世界史で出てきましたよね。

 ツンフトのワッペンです↑ ナルホド、こうやって装丁を仕上げたんですね。私のドイツ父が手がけた革張りの本も、ところどころに金の飾りが施してあり、それはそれは美しく高そ~な本でした。

 フランス革命後に自由競争という考えが広まるにつれて、ツンフトに属さない製本工が登場。この世界も競争の波にさらされることになるようです。さらには機械化により安いコストで製本できるようになり、手作りの豪華な本は需要が減るばかり・・・。中世から伝わる技術ですから、長く残していただきたいな~と思います。

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「ドイツのこと」カテゴリの記事

コメント

ほんと、長く残してもらえたら良いですね~
あちらで手作業による製本をみたときには、いまだに身近にこんな仕事(作品?)があるということに感動してしまいました。こんな現代に、女の子でも製本工になろうという子がいることにも感動でした!フランス装を知ったときもオドロキ。本の歴史を知ってまたオドロキ。こういうこと、学校でもおしえてくれるとよかったのにな~と思います。ドイツ父、やっぱりすばらしい方だったのですね!

投稿: あむ | 2007年10月 1日 (月) 22時54分

★あむさんっ

コメントほんと感謝です。手作業による聖書とかレクシコンはドイツ父関係で見たことがあるのですが、あむさんがご紹介なさった美しい写本は写真でしか見たことがないのです~。惜しいことをしました。見ときゃよかった。お坊さんも写経をしますが、向こうの僧侶も写して修行するんですね!確かに精神を統一しないと間違ったり、字がゆがんだりしますもんね!ワープロと違うから訂正利かないし、ティペックスで白塗りしたら怒られるだろうし・・・。中世の頃はみんな、本を大切にしたんでしょうね・・・。紙も貴重、インクや筆だって貴重。そもそも字が書ける人自体が少なかった時代ですもんね。

話は「ルリユールおじさん」の話に戻っちゃいますが、原画展(日本人の絵本作家が描いたものです)がフランス人にも好評、といったニュースだったと思います。淡い水彩で素敵なんですよ~。そのうち手に取って実際に読んでみたいと思います。

投稿: ありXxX | 2007年10月 2日 (火) 08時21分

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